2025.05.27
【展示会でおなじみ】リバンの曳山(ひきやま)を大公開
今回はリバンの展示会でおなじみの【曳山】についての紹介記事です。
リバンの地元に伝わる城端(じょうはな)曳山祭がユネスコに登録された際に製作されたこの展示品。
本記事では曳山の設計を中心に製作秘話を大公開しちゃいます!
【この記事の期待効果】
・城端曳山祭の歴史が分かる。
・モデリングの精密さや苦労が分かる。
・平面がなくて基準の取れないパーツの加工方法が分かる。
Contents
・詳細情報
・パーツ紹介
1| 城端曳山祭の歴史
毎年5月、富山県南砺市の城端で開催される「城端曳山祭」は約300年の歴史があり、曳山と庵屋台が町を練り歩き優雅な庵唄が町中に響く江戸情緒あふれる祭りです。
曳山には城端の職人によって彫られた豪華絢爛な彫刻が施されており大変見ごたえがあります。
2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されており、その折にリバンでも曳山のレプリカを作成しました。
2| リバンの曳山
リバン・イシカワで作成した曳山の材質・加工等々の情報とパーツの紹介です。
・詳細情報
材質:A2017(アルミ合金)
サイズ:96×132×160mm
加工方法:切削加工・放電加工
加工機:3軸マシニングセンタ・ワイヤー放電加工機
・パーツ紹介
リバンの曳山は、「車輪」「土台+柱」「曳山装飾」「屋根」「軸やピン」で構成されています。
中央下の青色のパーツ:車輪。複雑なデザインが見られる。
中央の緑色と黄色のパーツ+青い柱:曳山の土台となる部分。
左側の緑色と水色のパーツ:曳山上段の装飾。複雑なデザインが見られる。
左上の緑色のパーツ:屋根。
その他のオレンジや紫色細かいパーツ:ピンや軸など。
3| 装飾のモデリング
曳山の装飾は、写真から装飾ごとにトレースして線データ(dxf)にし、モデリングしています。
トレースは、写真の上にトレーシングペーパーを重ねて装飾ごとに輪郭を手作業でなぞりました。
現在は写真を切り絵風に生成するサイトもありますが、製作当時(2016年)は主流ではなかったので大変手間がかかっています。
4| 曳山全体が安定するための工夫
土台から延びる4本の柱で屋根まで固定するため、曳山を安定させるために柱が入る穴径に公差を設けました。
その他の穴にも公差を設定して製品並みの精度で加工しています。
また、外からは見えない箇所にパーツの組付け部を設けて外観と機能面の安定も実現しました。
この組付け部の穴には柱が通り柱4本で4枚の装飾パーツを土台に固定する設計になっています。
5| 機械固定するための工夫
加工機に固定するのが難しい部品には、パーツ内に固定するための箇所も併せて設けました。
この箇所は加工の最終段階で切り落とされるため見た目には影響はありません。
6| まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人的に驚いたのは、曳山の屋根に近い場所の装飾で人の顔が彫られていたことです。
表情も見えるしめちゃめちゃ細かいんです。
よーく見たら見つけられるので、展示会等々でご覧になる際には是非注目してみてください!